注文住宅 耐震等級3が必要な理由3つ
1月に今後30年以内に地震の発生確率を政府が発表しました。
当社のある南関東も切迫度が最大となっています。
かなりの確率で大地震が想定されている中で、
普通の大きさの木造2階建て住宅は、
法律上、構造計算をしなくていいことになっています。
つまり、柱や梁などの骨組みになる材料の強度、サイズは
計算されて使われていないということです。
先日、家づくりを検討しているお客様と打合せしている時に、
そのことが話題となりました。
その方はエンジニアという仕事柄か、びっくりしていました。
当社では、木造2階建ての家でも構造計算をして耐震等級3
の確保を標準としています。
その辺のことを書いてみます。
注文住宅で耐震等級3が必要な理由①:耐震等級とは
八王子市で創業59年、自然素材の家づくり№1工務店を目指す
大久保工務店 代表の大久保 篤です。
建築物の耐震性を数値で示すものに「耐震等級」
というものがあります。
耐震等級は1、2、3とランク付けされており、
内容は以下の通りです。
耐震等級1:
建築基準法(法律)にて定められている、最低限の耐震性能。・阪震度6強~7の地震でも、即倒壊はしないレベル。ただし、大規模修繕や建て替えとなる可能性がある。
耐震等級2:
等級1の1.25倍の耐震性能。震度6強~7の地震でも、
一定の補修程度で住み続けられるレベル。
※学校や避難所といった公共建築物に等級2が多い。
耐震等級3:
等級1の1.5倍の耐震性能。震度6強~7の地震でも、
軽い補修程度で住み続けられるレベル。
※消防署や警察署といった災害復興の拠点となる防災施設に等級3が多い。
上を見てわかるように耐震等級3が最高ランクになります。
ではなぜ等級3が必要なのかは、熊本地震の教訓により
私は判断しています。
平成28年に起きた熊本地震では、余震、本震、余震と
繰り返しの揺れが続き、震度7以上が2回もありました。
公的な被害調査報告では現行の耐震基準(H12新耐震)
で設計された家でも多くの全壊・倒壊がありました。
そんな中、耐震等級3で設計建築された家は、被害がなし、
もしくは少しの補修で済んだ家がほとんどだったのです。
だから、耐震等級3をお薦めしているのです。
注文住宅で耐震等級3が必要な理由②:構造計算
耐震等級3を取得するためには、
構造計算をして等級3に合致することを証明しなくてはなりません。
ここで肝は構造計算のやり方です。
大まかに言うと構造計算には2種類あり、
一つは、「壁量計算」といって、必要な壁の量があればいい。
簡易的な方法により必要な壁の量を計算するだけです。
もう一つは、「許容応力度計算」といて、柱や梁のサイズ、
どの位の力、荷重、揺れに耐えられるのかまでを
専門のソフトを使って計算するやり方です。
つまり、許容応力度計算で構造計算された建物は、
きちんとした根拠づけがされた建物と言えるのです。
耐震等級3を確保していてもどちらのやり方で、
構造計算されたかによって、信頼性がことなります。
注文住宅で耐震等級3が必要な理由③:地震保険
ここでは、耐震等級3を取得したことによる金銭的なメリット
についてお話します。
冒頭でお話ししたように、大きな地震が心配な時代です。
地震保険に加入する家庭も増えていますね。
そして保険料も年々上がっている傾向です。
耐震等級3を取得しておくと、保険料が通常の50%
の保険料となるのです。
地震の発生確率により保険料は変わりますが、
東京で30年間、2000万円位の地震保険に耐震等級3で
加入すると、保険料が約50万円安くなる計算になります。
ここで注意しなくてならないのは、
よく広告やHPで見られる「耐震等級3相当」の
相当という部分です。
どういうことかというと、
「耐震等級3に相当する強さがあります」と言っているのです。
それは構造計算した結果の相当なのか、
構造計算でも、壁量計算なのか許容応力度計算なのかを
確認する必要があります。
また、耐震等級3は、構造計算をして
「性能評価」なり「長期優良住宅」の審査を受けたものが
正式なものです。
いかがでしたか?
昔は耐震等級など、耐震性を数値で示すものはありませんでした。
そんな制度ができて、面倒な手続きが増えたという意見もありますが、
制度ができた背景・ニーズがあったからこそだと思います。
基準となる明確な制度なので、利用しない手はないと
大久保工務店は考えています。